四国中央市の水引工房へ
愛媛県の東部に位置し、香川・徳島・高知の三県に面する四国中央市は、古くから製紙業で栄えた「紙のまち」。平成16年に伊予三島市、川之江市、土居町、新宮村の4つが合併してできた町ですが、合併以降「パルプ・紙・紙加工品製造業」の出荷額が11年連続して全国一を誇っています。
お若い方には映画「書道ガールズ」の舞台となった町と言ったほうがわかりやすいかもしれませんね。
その後、江戸時代に髪を束ねる細い紐「元結」となり、明治以降に現在の「金封」や「工芸品」などが作られるようになったそうです。
今回お邪魔しました安藤結納店さんは、安藤さん(写真右)村上さん(写真左)のお二人で製作されています。この道50年以上のベテラン伝統工芸士さん。
持っていった本を見せると、「これはね、こうこうこうしてね、えーっとこうやって、こうで、こうで、ほらできたっ!」と即興であっという間に何でも作ってくれます。
そんな二人は息もぴったり。
安藤さんが「アレなーい?」と言うと村上さんからさっとアレが出てくる。
今度は村上さんがゴソゴソ何か探しものをしていると、安藤さんが横からサッと欲しいものを差し出す。
「みんながね、私ら二人の掛け合いを見るんが面白いって言うのよ~」
長年やってこられた二人ならではの「あ、うん」の呼吸。
そこに居るだけでとっても温かな気持ちにさせてくれます。
道後・椿の湯の改修工事からもオファーがあったそう。完成したら見に行かなくては!
「ふふふっ、あなたの好みはだいたいわかったわよ~楽しみにしててね^^」
孫?とまではいきませんが、歳の離れたこちらの要望をスッと察知し、くみ取ってくれてありがたい。
「こうしたらもっといいんじゃない、これもできるよ」と広げてくれるので、どんどん夢が膨らみます。
時代とともに普段の生活で「水引」に触れる機会は少なくなりました。
今一番暮らしに身近なところでは祝儀袋や熨斗袋の「金封」といったところでしょうか。
その「金封」は戦時中、出征していく兵士への心付けに「水引を結んだ金封」を渡したことがはじまりと言われています。
大切な人への贈り物に水引を掛けることで意味する相手への敬いや神聖さ。
また「結ぶ」という意味にはしっかりとした結びつき、それを願う想いが込められています。
西洋のリボンは解けてしまうけど、水引は解けませんからね。
そういう側面からも水引は日本人が持ちうる精神的文化にしっくり当てはまったんだと思われます。
水引ってこんなに面白いんだ~改めてそう感じた工房訪問でした。
みなさん、年末をお楽しみに!