秋の鑑賞

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紅葉日和の先週火曜日、久万美術館で開催されています「孤高の道-馬越舛太郎展」へ出かけました。
リブアートさんにて偶数月の第二土曜に開催される「アート夜話」。毎回違うテーマに沿って、久万美術館の成り立ちや企画運営、企画展内容など、館長さんからお話が伺えます。知らないと疎遠に感じる内容も、知ると覗いてみたくなる。ということで、どのくらい前知識が頭に入っているかは自信がありませんが(すみません)・・それでもいつもより身近に感じられた展示会でした。

馬越舛太郎(1899-1987)は、愛媛県今治出身の洋画家で、戦前は東京やフランス絵画を学びます。セザンヌに憧れやルーブル美術感を観るため若くしてパリに渡り、その後帝展や国画会で活躍。村山槐多・中村彝・林倭衛らと同時代の画家たちとの交流が知られ、将来を有望視されていました。
しかしその後暮らしぶりが一変。戦後は郷里の今治に戻り、旧友や周囲とほとんど交わることなく一人制作に没頭していきます。特に晩年の20年間に描かれたは、「白い絵」。板に描かれた油絵をカミソリの刃で削ぎ落とし、描いてはまた削ぎ落とす作業をひたすら繰り返したとされています。そして、公募展等公の場には一切出品しない。まさに孤高の道をたどる・・・馬越の心情に一体何があったのか、今となってはキャンパスを通じてしかわかりえない、非常に謎が残る部分です。
今回は馬越の油彩、デッサン、資料など約70点の展示の中で、主に晩年に焦点をあて、人々の記憶から薄れゆく馬越という孤高の画家の存在を今一度掘り起こし、馬越の求めたもの、馬越のエスプリはどこにあるのか探るというのが今回の企画展の課題であり、作品を前に各々に感じ取ってもらえたらとのことでした。
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私たちが訪れた火曜は、ちょうど偶然にも馬越氏の次女さん三男さんが来館されていました。
晩年の白い絵は描いては消し、描いては消し毎日毎日その過程の繰り返しで、メガネのフレームの上に削りカスが積もっていたそうです。そうしてストイックなまでに希求し、制作に打ち込みながら、「父は亡くなるまで自分の納得する絵に辿りつけなかったんじゃないでしょうか・・」そう静かにおっしゃる三男さんのことばが非常に印象的でした。
地位も名声も求めず、周囲と距離を置き、ただただ自分の絵を追い求め、郷里で制作し続けた孤高の画家、馬越舛太郎の企画展。久万美術館の独自の視点で、小さい美術館ながらも丁寧に準備された優しい温かみのある展示会です。紅葉シーズンも兼ねてぜひオススメします。
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by karin-since2011 | 2014-11-02 18:43 | 久万美術館